私立に教育費はいくら必要?私立・公立の教育費シミュレーション&貯め方を紹介~オール私立の教育費総額は2,000万円以上!〜
子どものいる家庭において、教育費準備は大きな課題。
一体、総額でいくらかかるのか、不安を感じている方もいらっしゃるでしょう。
教育費の金額は私立・公立のどちらに進学するかによって大きく異なり、例えば幼稚園から大学まですべて私立に進学した場合は、総額2,000万円以上になる可能性があります。
そのため進学先は、子どもの希望はもちろんのこと、家計状況とも相談しながら慎重に決める必要があるでしょう。
この記事では、私立・公立への進学パターン別に教育費総額をシミュレーションし、比較表にまとめました。
また、おすすめの教育費の貯め方も3つ紹介するので、子どものいるご家庭はぜひ参考にしてみてください。
教育費には3つの種類がある
一口に「教育費」と言っても、大きく分けて「学校教育費」「学校給食費」「学校外活動費」の3種類があります。
それぞれの内容は次のとおりです。
教育費の種類 | 内容 |
---|---|
学校教育費 | 授業料、学校納付金、学用品費、通学費など |
学校給食費 | 給食費 |
学校外活動費 | 自宅学習や学習塾・家庭教師などの経費、習い事費、地域活動費など |
このうち学校教育費は、小学校・中学校・高校に共通して、公立よりも私立のほうが高額です。
次の章で詳しく解説していきます。
私立・公立の教育費はどのくらい違う?幼稚園から大学まで徹底比較!
私立と公立はどのくらい教育費が違うのか、幼稚園から大学まで比較してみましょう。
出典:文部科学省|平成30年度子供の学習費調査
幼稚園の教育費
私立 | 公立 | |
---|---|---|
学校教育費 | 2万2,978円 | 0円 |
学校給食費 | 3万880円 | 1万9,014円 |
学校外活動費 | 16万5,658円 | 8万3,895円 |
年間計 | 21万9,516円 | 10万2,909円 |
3年間の総額 | 65万8,548円 | 30万8,727円 |
2018年の文部科学省の調査によると、幼稚園でかかる年間教育費の平均額は私立が約53万円、公立が約22万円です。
しかし2019年10月の「幼児教育・保育の無償化」以降、幼稚園の利用料は通園送迎費・食材料費・行事費を除き、月額2万5,700円を上限に無償化されました。
これにより、私立・公立ともに学校教育費の負担が大きく減り、幼稚園3年間の教育費総額は私立で66万円、公立で31万円ほどになると考えられます。
ただし上記の表のとおり、幼稚園でかかる教育費のほとんどは学校外活動費が占めているため、どのような学習塾や習い事をするかによって総額は変わるでしょう。
出典:内閣府|幼児教育・保育の無償化概要
小学校の教育費
私立 | 公立 | |
---|---|---|
学校教育費 | 90万4,164円 | 6万3,102円 |
学校給食費 | 4万7,638円 | 4万3,728円 |
学校外活動費 | 64万6,889円 | 21万4,451円 |
年間計 | 159万8,691円 | 32万1,281円 |
6年間の総額 | 959万2,146円 | 192万7,686円 |
小学校の年間教育費の平均額は私立が約160万円、公立が約32万円で、その差はなんと5倍です。
小学校6年間分に換算すると、私立・公立の教育費の間には766万円もの差が出る計算になります。
その大きな理由は、私立小学校と公立小学校では授業料負担がまったく違うためです。
公立小学校の授業料は無償のため、学校教育費としては学用品費や通学関係費などの諸費用だけで済みます。
対して私立小学校の授業料は、年間平均で48万5,337円です。
また学校納付金も公立の年間平均が1万2,235円であるのに対し、私立は23万1,425円と大きな差があります。
私立小学校への進学は、家計と相談のうえ慎重に判断する必要がありそうです。
中学校の教育費
私立 | 公立 | |
---|---|---|
学校教育費 | 107万1,438円 | 13万8,961円 |
学校給食費 | 3,731円 | 4万2,945円 |
学校外活動費 | 33万1,264円 | 30万6,491円 |
年間計 | 140万6,433円 | 48万8,397円 |
3年間の総額 | 421万9,299円 | 146万5,191円 |
中学校の年間教育費の平均額は私立が約141万円、公立が約49万円です。
公立中学校は授業料が無償であるのに対し、私立中学校は年間平均42万8,574円もの授業料がかかるため、それが金額差に影響しています。
私立の学校給食費が公立よりも少額なのは、私立中学校のなかには給食を提供していない学校があるためです。
学習塾や習い事などの学校外活動費は、私立と公立でそれほど差はありません。
中学校3年間での教育費総額を比較すると、私立が約422万円、公立が約147万円と3倍近くの違いがあります。
高校(全日制)の教育費
私立 | 公立 | |
---|---|---|
学校教育費 | 71万9,051円 | 28万487円 |
学校給食費 | – | – |
学校外活動費 | 25万860円 | 17万6,893円 |
年間計 | 96万9,911円 | 45万7,380円 |
3年間の総額 | 290万9,733円 | 137万2,140円 |
全日制高校の年間教育費の平均額は、私立が約97万円、公立が約46万円です。
高校3年間でかかる教育費は、単純計算で私立が約291万円、公立が約137万円となります。
ただし、公立・私立ともに「高等学校等就学支援金制度」による返還不要の授業料支援があるため、実質負担額はもっと少なくなります。
高等学校等就学支援金の年間支給額
私立高校(全日制) | 最大39万6,000円 |
公立高校 | 11万8,800円 |
上記金額の支援金を受け取れる場合、高校3年間の教育費総額は、私立は170万円ほど、公立は100万円ほどになる計算です。
注意点として、高等学校等就学支援金の支給には所得制限があります。
私立高校の場合は年収約590万円以上の世帯、公立高校の場合は年収約910万円以上の世帯は支援金を受け取れないため、教育費全額を自己負担でまかなわなければなりません。
出典:2020年4月からの「私立高等学校授業料の実質無償化」リーフレット
大学の教育費
以下の表は、文部科学省の調査や省令を参考に、私立文系・私立理系・国立大学の学費をまとめたものです。
私立文系 | 私立理系 | 国立 | |
---|---|---|---|
入学料 | 22万8,262円 | 25万5,566円 | 28万2,000円 |
授業料(年間) | 79万513円 | 111万6,880円 | 53万5,800円 |
施設設備費(年間) | 15万807円 | 17万7,241円 | – |
4年間の総額 | 399万3,542円 | 543万2,050円 | 242万5,200円 |
表を見ると、私立か国立か、文系か理系かによって、大学4年間にかかる学費は大きく異なるとわかります。
また、学費のほかにも通学費用や下宿費用、留学費用など、さらに上乗せして教育費が必要なケースもあるでしょう。
このように高額な大学の教育費負担を軽減するため、2021年4月より「高等教育の修学支援新制度」が始まりました。
世帯収入などの要件を満たし支援対象となる場合は、授業料や入学金の減免、返還不要の給付型奨学金支給が受けられます。
どのくらいの支援が受けられるかは世帯収入や進学先によって異なるため、日本学生支援機構の「進学資金シミュレーター」で試算してみるとよいでしょう。
出典:
文部科学省|令和元年度 私立大学等入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果について
文部科学省|国立大学等の授業料その他の費用に関する省令
文部科学省|高等教育の修学支援新制度
私立・公立への進学パターン別|教育費総額のシミュレーション
ここまで解説してきた幼稚園から大学までの教育費金額をもとに、私立・公立への進学パターン別の教育費総額を試算しました。
進学パターン | 幼稚園 | 小学校 | 中学校 | 高校(支援金あり) | 大学(支援を加味せず) | 教育費総額 |
---|---|---|---|---|---|---|
すべて私立の場合(私立理系) | 66 万円 | 959 万円 | 422 万円 | 170 万円 | 543 万円 | 2,160 万円 |
すべて私立の場合(私立文系) | 66 万円 | 959 万円 | 422 万円 | 170 万円 | 399 万円 | 2,016 万円 |
中学校以降私立の場合(私立理系) | 31 万円 | 193 万円 | 422 万円 | 170 万円 | 543 万円 | 1,359 万円 |
中学校以降私立の場合(私立文系) | 31 万円 | 193 万円 | 422 万円 | 170 万円 | 399 万円 | 1,215 万円 |
高校以降私立の場合(私立理系) | 31 万円 | 193 万円 | 147 万円 | 170 万円 | 543 万円 | 1,084 万円 |
高校以降私立の場合(私立文系) | 31 万円 | 193 万円 | 147 万円 | 170 万円 | 399 万円 | 940 万円 |
大学のみ私立の場合(私立理系) | 31 万円 | 193 万円 | 147 万円 | 100 万円 | 543 万円 | 1,014 万円 |
大学のみ私立の場合(私立文系) | 31 万円 | 193 万円 | 147 万円 | 100 万円 | 399 万円 | 870 万円 |
幼稚園から大学まで公立の場合 | 31 万円 | 193 万円 | 147 万円 | 100 万円 | 243 万円 | 714 万円 |
最も教育費が高くなるのは、幼稚園から大学まですべて私立校に進学した場合です。
私立大学の理系へ進学すると、総額2,160万円の教育費がかかる可能性があります。
対して、幼稚園から大学まですべて公立校に進学した場合、教育費総額は714万円です。
ただし上記の表の金額は、高等教育の修学支援新制度による支援を加味していません。
また、学習塾や習い事の経費によっても教育費は変わってくるため、あくまでも参考としてお考えください。
おすすめの教育費の貯め方3つ|~各メリット・デメリットを解説~
家計負担を抑えつつ教育費を準備するには、毎月少額をコツコツ積み立てるようにして貯めていくとよいでしょう。
毎月少額から積立できる、おすすめの教育費の貯め方は次の3つです。
- 自動積立定期預金
- 保険商品
- 投資信託
各メリット・デメリットと、どのような人におすすめなのかを解説していきます。
児童手当をすべて貯めるだけでも子ども1人につき約200万円を準備できるので、ぜひ検討してみてください。
1.自動積立定期預金
自動積立定期預金とは、毎月任意の金額を自動的に定期預金口座へ預け入れる商品です。
あらかじめ決めた口座満期日まで、毎月定額を自動的に貯められるため、貯金が苦手な方におすすめです。
また途中解約も可能なので、口座満期日の到来前にお金が必要になっても柔軟に対応できます。
自動積立定期預金は元本割れの心配がなく、確実に教育費を貯められる点がメリットですが、利率が低く長期間預け入れてもお金があまり増えないのがデメリットです。
■自動積立定期預金のメリット・デメリット
メリット:元本が保証される/途中で解約ができる
デメリット:利率が低い
2.保険商品
教育費は保険商品で準備することも可能です。
代表的な例としては、生命保険の一種である「学資保険」が挙げられます。
学資保険とは、毎月決まった保険料を払い込むことにより、子どもの進学などのタイミングで保険金が受け取れる仕組みの保険です。
返戻率が100%以上の学資保険を選べば、払い込んだ保険料の総額よりも多い保険金を受け取れるため、銀行預金の利率に満足できない方は検討するとよいでしょう。
また学資保険は、保険料払込免除特約が付加されている場合、契約者である親が死亡した場合、その後の保険料払い込みが免除されたうえで保険金を受け取れるという特徴もあります。
そのため、親(契約者)の死亡リスクに備えつつ教育費を準備したい方にもおすすめです。
学資保険のほか、教育費準備に活用できる保険商品は、保険料の運用成績によって保険金額が変動する「変額保険」もあります。
ただし変額保険には元本割れリスクがあるため、自分のリスク許容度と相談のうえ契約検討しましょう。
学資保険や変額保険のメリットとしては、生命保険料控除の対象となり、所得税・住民税の負担を軽減できる点が挙げられます。
一方で「途中で保険料を変更できない」「途中で解約すると損をする可能性が高い」というデメリットもあるため、無理のない保険料で契約することが大切です。
■保険商品のメリット・デメリット
メリット:親(契約者)の死亡リスクに備えられる/返戻率が高い商品なら受取額が多くなる/生命保険料控除により節税できる
デメリット:途中で保険料を変更できない/途中で解約すると損する可能性がある
3.投資信託
投資信託とは、株や債券など幅広い投資先に対し、少額から投資できるのが特徴の投資商品です。
投資信託は元本割れリスクのある商品ですが、分散投資によるリスク軽減効果が見込めるため、長期投資に向いていると言われています。
また、必要に応じて現金化できるメリットもあるので、運用しながら教育費を準備したい方は検討してみましょう。
ただし、投資信託には購入時手数料や信託報酬などの手数料がかかります。
各手数料率は商品によって異なるため、購入前に必ず確認し、できるだけ手数料率の低い投資信託を購入するのが大切です。
投資信託で教育費を貯める場合は、NISAやつみたてNISA、ジュニアNISAといった非課税口座内で購入すると運用益に税金がかからなくなるため、ぜひ活用してください。
■投資信託のメリット・デメリット
メリット:運用成績によってはお金を増やせる可能性がある/NISAなどの税制優遇制度を利用できる/換金性が高い
デメリット:元本割れリスクがある/手数料がかかる
まとめ
幼稚園から大学まですべて私立に進学した場合、教育費総額は2,000万円以上になる可能性があります。
私立・公立の教育費の差は決して小さくないため、「本当に私立に進学する必要があるのか」をよく考えたうえで進学先を選びましょう。
教育費の貯め方は「自動積立定期預金」「保険商品」「投資信託」が考えられます。
ただし適切な方法は人によって違うため、自分に合う教育費の貯め方を知りたい方は、FP(ファイナンシャル・プランナー)などお金のプロに相談するのがおすすめです。
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この記事を書いた人
大渕ともみ
ファイナンシャルプランナー/フリーライター
福岡で活動するフリーライター。9年間の会社員生活を経て、仕事と育児の両立のため前職を2020年7月に退職し、同年8月にライターとして独立開業。
結婚をきっかけにマネー情報に興味をもち「教育費や老後資金を賢く準備したい」と独学で2級FP技能士の資格を取得。「お金はきちんと貯めてきちんと使う」がモットー。自身でも資産運用に取り組みながら、金融関連メディアを中心に執筆活動中。
好きな食べ物はお寿司のえんがわ。趣味はウィンドウショッピングと洋裁。活発な娘に翻弄される毎日。