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学資保険は妊娠中から加入するべき?出生前加入のメリット・デメリットを解説

子どもの教育費準備の定番といえば、学資保険です。学資保険は子どもが生まれる前から加入できるのをご存知でしょうか。教育資金準備に学資保険を利用するなら、出生前加入にはメリットがあるのです。この記事では、学資保険の出生前加入についてのメリット・デメリットや学資保険選びのポイント、学資保険以外の教育資金準備の方法について解説します。子どもの教育費準備を検討中の人は参考にしてください。

学資保険はいつから入るべきか

学資保険はいつから入るべきか
結論から言うと、学資保険に加入するなら早いほうが有利です。ここでは、出生前加入のメリットなどについて解説します。

学資保険は早く入ったほうがいい

学資保険は早く入ると保険料が安くすみ、効率よくお金が貯まります。ある保険会社の学資保険の加入例で比較してみましょう。

前提条件

  • 契約者:父(30歳)
  • 受け取り学資総額:200万円
  • 保険料払込期間:10年
子どもが0歳で加入 子どもが1歳で加入 子どもが2歳で加入
保険料月額 1万5,788円 1万7,844円 2万424円
払込保険料総額 189万4,560円 192万7,152円 192万704円
返戻率 105.5% 103.7% 102.0%

上記のとおり、子どもが0歳で加入すると保険料が安いだけでなく、支払った保険料に対する学資金の返戻率も高くなります。加入するなら「早いほどお得になる」というわけです。

学資保険は出生前でも加入できる

学資保険は、子どもが生まれる前から加入できる商品もあります。学資保険というと子どもが生まれてから加入するものと考える人も多いかもしれませんが、出生前加入にはさまざまなメリットがあるのです。なお、出生前加入の詳細な条件は保険会社によって異なるため、加入の検討にあたってはよく確認するようにしましょう。

学資保険に出生前に加入するメリット

学資保険の出生前加入には、以下のような検討に値するメリットがあります。

早く入るほど保険料が安くなる

先述のとおり、学資保険は加入時期が早いほど、毎月の保険料負担は少なくすみます。出産前に加入すれば0歳で加入したことになり、1歳で加入するより保険料が低く抑えられます。また、一般的に払込保険料総額に対する返戻率も高くなります。

ゆとりを持って検討できる

学資保険の検討は子どもが生まれてからよりも、出産前の安定期以降がゆとりを持って検討できます。子どもが生まれると、慣れない育児でママが睡眠不足になるなど、学資のことをゆっくり考えるゆとりがなくなることも考えられます。つわりが終わった安定期以降は、夫婦そろって教育費やその他のライフプランを考えるのに適しています。

早生まれは受け取り時期が前倒しになることも

学資保険の出生前加入は、早生まれの子どもにメリットがあります。学資保険を18歳満期で契約すると、お金が受け取れるのは18歳の誕生日以降です。最近は、推薦入学などで10月くらいから学費を納入するケースも多く、満期を待てないこともあります。多くの保険会社の出生前加入では、満期が18歳の誕生日前に設定されます(保険会社ごとの規定による)。たとえば生まれる90日前に加入したとすると、満期が18歳の誕生日の90日前に設定されるようなイメージです。

子どもの健康状態を問われない

一般的に学資保険の出生前加入では、生まれてくる子どもの健康状態を問われません。学資保険には、子どもが低体重で生まれると加入を延期させられるケースなどがあります。出生前加入ならば、生まれた子どもがどのような健康状態でも保険契約が正常に継続できます。

学資保険に出生前に加入するデメリット

学資保険の出生前加入には大きなデメリットはありませんが、知っておくべき注意点を解説します。

手続きの手間が増える

出生前に学資保険に加入すると、子どもが生まれたことを保険会社に知らせなければなりません。子どもが生まれたら、速やかに保険会社に届け出ましょう。

子どもが生まれてからの家計の変化が予測できない

出産後はベビー用品代やおむつ代など、あれこれと支出が増えます。ママが退職して、収入が減る家庭もあるでしょう。考えていた以上に出費がかさみ、保険料の支払いが難しくなる可能性もあります。出生前に学資保険を検討する場合、自治体からもらえる児童手当を財源としておけば無理なく保険料を支払えます。家計に無理のない計画を立てましょう。

妊娠中に学資保険に入る際のよくある質問

妊娠中に学資保険に入る際のよくある質問
ここでは学資保険の出生前加入ついての、よくある質問とその答えを紹介します。

Q1.学資保険に妊娠中に加入できる?

学資保険は子どもが生まれる前から加入できます。学資保険の被保険者は子どもです。出生前加入では、被保険者の名前や生年月日が決まっていない状態で契約します。

Q2.流産や死産になった場合は?

万が一流産や死産となった場合、出生前に加入した学資保険の契約は無効になります。通常、払い込んだ保険料が全額戻ってきます。

Q3.出生前加入をして、子どもが生まれたらどんな手続きが必要?

学資保険に出生前加入する場合、申込書には子どもの名前・生年月日を空欄のまま提出するのが一般的です。無事に子どもが誕生したら、被保険者としての名前や生年月日を保険会社へ届け出ます。

Q4.出生前加入はいつから契約できる?

多くの保険会社では、学資保険に出産予定日の140日前から出生前加入が可能です。出産予定日の140日前とは、だいたい妊娠6カ月くらいに相当します。

Q5.双子の場合は、出生前に2人分加入できるの?

胎児が2人以上の多胎妊娠の場合、学資保険で胎児の人数分の出生前加入はできません。通常、1人分として加入し、出産後に戸籍上の先順位の子どもが被保険者となります。他の子どもの分も加入したい場合は生まれてからの契約となり、複数契約があると兄弟割引が適用される保険会社もあります。

学資保険の選び際のポイント

学資保険の選び際のポイント
学資保険を比較検討するときに、どの点を重視すればよいでしょうか。学資保険選びのポイントを解説します。

返戻率の高さ

学資保険は、教育費を準備するための貯蓄型の保険です。一番大切なのは支払った保険料に対していくら学資が受け取れるか、つまり返戻率の高さです。返戻率は以下の計算式で求めます。

返戻率(%):受け取る学資金や祝い金の合計 ÷ 払込保険料総額 × 100

返戻率が100%を超えていれば支払った保険料より多く受け取れることになり、100%未満であれば元本割れとなります。

満期金を受け取るタイミング

学資保険の満期は大きく分けて、18歳(17歳)満期と22歳(21歳)満期のタイプがあります。18歳満期型は満期金を18歳時に一括で受け取るタイプです。大学などに入学する際の、入学金やアパート入居費用などの大きな支出に備える目的で活用できます。一方、22歳満期型は18歳から22歳までの間に学資を分割して受け取ります。入学してからの授業料に充てられる保険です。18歳満期型と22歳満期型に優劣はなく、各家庭の都合に合わせて選ぶとよいでしょう。

保険料払込期間

学資保険の保険料払込は、18歳までや10年など保険会社によって複数の選択肢があります。払込期間が短いほうが、貯蓄性は高い傾向があります。しかし、払込期間が短いと月あたりの保険料が高くなるので、注意が必要です。

学資保険最新事情

これまで学資保険は、教育資金の準備手段として多くの人に利用されてきました。しかし、最近では学資保険以外の方法で教育資金を準備する人が増えています。ここでは、最近の学資保険事情を紹介します。

学資保険の返戻率が下がっている

最近の超低金利の影響で学資保険の返戻率が下がり、貯蓄性に魅力がなくなりつつあります。子どもが生まれてすぐに加入して18歳まで保険料を積み立てても、支払った保険料をわずかに上回る学資しか受け取れないのです。また、途中で解約すると、元本割れをするケースがほとんどです。

学資保険以外の方法で教育費を準備するケースも

学資保険を利用してもお金がわずかしか増えないことから、別の方法で教育費の準備をする人が増えました。学資保険には加入時に決められた学資が必ず貯まったり、契約者が死亡しても学資が準備できたりするメリットがあります。しかし、お金を貯めるのが目的である以上、より有利な方法も求められているのです。

学資保険以外で教育費を貯める方法

学資保険以外で教育費を貯める方法
学資保険以外で教育資金を準備するなら、どんな選択肢が考えられるでしょうか。利用しやすい方法をいくつか紹介します。

外貨建て保険

外貨建て保険は、保険料を外貨で運用する保険です。学資保険代わりとしては、外貨建て終身保険を必要な時期に解約し、解約返戻金を学資に充てる方法が一般的です。親が被保険者であれば死亡時に保険金が受け取れて、教育費の確保が可能です。現在は米ドル建ての保険が多く、外貨ベースでは日本円より高い解約返戻金の返戻率が設定されていることが多いです。ただし、為替変動の影響を受けるため、極端な円高では円に換金した際に元本割れを起こす可能性があります。加入したら為替レートに注意し、換金するタイミングで大きく円安になったら早めに解約してもよいでしょう。

変額保険

変額保険は保険料を特別勘定という投資信託で契約者が運用する、投資型の保険です。外貨建て保険同様に死亡保障があるため、親が被保険者であれば死亡時に保険金を学資に充てられます。解約返戻金や死亡保険金は運用成績に応じて増減しますが、死亡保険金には最低保証があります。運用の成果はすべて契約者が負うため、運用に失敗した場合は損をする可能性もあることに注意が必要です。その一方で、運用が上手くいけば支払った以上の返戻金の受け取りも可能です。

つみたてNISA

つみたてNISAは積立で買い付けた投資信託の運用益が非課税になる制度です。通常、投資信託の運用益には20.315%の税金がかかりますが、つみたてNISAで買い付けた分には課税されません。つみたてNISAは年間40万円の非課税限度額があり、最長20年の非課税積立ができます。途中の換金は自由なので、子どもの学資の準備にも利用可能です。元本保証ではありませんが、短期間で大きな利益を狙う方法と違い、誰でも取り組みやすい仕組みです。保険商品ではないので、親の死亡時の保障が必要な人は、掛け捨て保険などで別途準備しましょう。

まとめ

教育資金を準備するなら早く始めるほど有利であり、学資保険なら出生前加入で子どもが生まれる前からの準備も可能です。ただ、最近の超低金利による運用難から、学資保険の魅力は薄れています。今回、学資保険代わりに紹介した方法はいずれも、子どもが生まれる前からの準備が可能です。教育資金の準備についてわからないことがある人は、FPに相談して詳しく話を聞いてみるとよいでしょう。

この記事を書いた人

大渕ともみ
ファイナンシャルプランナー/フリーライター

福岡で活動するフリーライター。9年間の会社員生活を経て、仕事と育児の両立のため前職を2020年7月に退職し、同年8月にライターとして独立開業。

結婚をきっかけにマネー情報に興味をもち「教育費や老後資金を賢く準備したい」と独学で2級FP技能士の資格を取得。「お金はきちんと貯めてきちんと使う」がモットー。自身でも資産運用に取り組みながら、金融関連メディアを中心に執筆活動中。

好きな食べ物はお寿司のえんがわ。趣味はウィンドウショッピングと洋裁。活発な娘に翻弄される毎日。

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