介護費用に備えたい
超高齢化社会が進む今、身近なテーマとなりつつあるのが介護のこと。最近では「人生の四大資金」のひとつとも言われています。将来、もしも自分やパートナーに介護が必要になったらどんな段階を踏んで、費用はどれくらい必要か、簡単にシミュレーションしてみましょう。
もしも介護が必要になったら、自己負担額はどれくらい?
介護が必要な状態になったら、まずは公的介護保険が利用できるよう市区町村に申し出ます。そこで認定を得られると、訪問介護や介護施設などへの短期ステイ、介護老人福祉施設への入所といった公的介護サービスが、1割、2割負担などで受けられるようになります。
ただし、ひと月あたりの利用には上限額があり、上限額は介護の必要度によって異なります。
たとえば要介護3で1割負担の方が上限まで介護サービスを受けた場合、1ヶ月の自己負担額は27,048円です。
ただし上限を超えた場合は超過分の料金、さらに公的な介護サービス以外を利用するとその料金も加算されるため、実際にかかるお金は公的介護保険の範囲ではカバーできないケースが多いようです。
現に、生命保険文化センターの調査では
(公的介護保険サービスの自己負担費用を含む)
一時費用の合計額:69万円
(住宅改造や介護用ベッドの購入など一時的にかかった費用)
平均介護期間:54.5ヶ月
とのデータがあります。この数字をもとに試算すると、介護にかかる総額はおよそ500万円となります。
介護の費用、どうやって備える?3つのパターン
では、公的介護保険だけではカバーできない部分はどう備えたらよいのでしょう。じゅうぶんな貯蓄があればもちろん問題ありませんが、やや不安が残るのであれば保険を活用する手もあります。
パターン1)
介護保険で備える
その名の通り、介護の費用に備える民間の介護保険を活用します。
概要 | 基本的な給付条件 | ポイント | |
---|---|---|---|
介護保険 | 介護が必要になったときの介護費用をカバー | ・一定期間継続して介護が必要な状態になったとき ・一定の要介護認定を受けたとき |
・公的介護制度では足りない部分をカバーできる ・商品によって給付を受けられる条件が異なるため入念な確認が必要 |
介護保険のタイプは大きく2つ。死亡保障がセットになっていて、介護が必要となったときだけでなく万が一のときや解約時などにまとまったお金が受け取れるぶん保険料が割高な「貯蓄型」、保障を介護状態になったときのみに絞ることで保険料が割安な「掛け捨て型」があります。
検討の際には、現在加入している保険との兼ね合いや保障内容、受け取りの条件などもチェックしましょう。
パターン2
介護特約をつける
医療保険などのオプション(特約)として介護特約をつける方法もあります。
すでになんらかの保険に入っている、あるいはこれから医療保険を検討したい場合などは、「メイン+介護特約」としたほうが保険料や保障内容にむだがないケースがありますので、事前にチェックしましょう。
パターン3
貯蓄型保険で備える
個人年金保険、低解約返戻金型終身保険などの「貯蓄型保険」で備える方法です。
介護保険は、要介護状態などの条件を満たさなければ給付金を受け取れませんが、貯蓄型保険であれば健康状態にかかわらず、満期や解約時などにまとまったお金が受け取れます。
もちろん、お金の使い道は自由ですから、介護に使わなかったなら老後の生活費や娯楽費などに充てられます。
高齢化社会が続き、公的な介護保険制度もたびたび改正されています。そのため、いずれ介護が現実的になったとき、はたしてどのくらいの保障が受けられるかは見通しづらいものです。そのときに慌てなくてすむように、今から介護について考えておけると安心かもしれません。