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離婚のとき、学資保険はどうする?名義変更や損しない方法を解説

学資保険に加入する際、この先もし離婚となった場合はどのような扱いになるのか、心配される方もいるのではないでしょうか。

そのときのご家庭の状況によりますが、基本的には「学資保険の契約者=子どもの親権者」となるように名義変更するのが望ましいです。
もしくは学資保険を解約し、受け取った解約返戻金を財産分与する方法もあります。

この記事では学資保険の名義変更が必要なケースや具体的な手続き方法、名義変更と解約ではどちらがいいのかを解説するので、気がかりな方は参考にしてみてください。

学資保険の名義変更が必要なケース

学資保険の名義変更が必要なケース
学資保険の契約者は、被保険者である子どもの父または母を設定するのが一般的です。
特に何もなければ契約後に名義変更を行う必要はありませんが、もし離婚となった場合は学資保険の契約者を誰にするのかしっかり話し合いましょう。
保険料の払込義務は契約者にあり、また基本的には「契約者=学資金の受取人」となるため、離婚の際は「契約者=子どもの親権者」の状態にしておくのが望ましいためです。

例えば、学資保険の契約者に母親を設定しており、離婚時の親権も母親が持つ場合、すでに「契約者=親権者」の状態のため名義変更の必要はありません。
一方、学資保険の契約者に父親を設定しており、離婚時の親権を母親が持つ場合は、学資保険の契約者を父親から母親へ名義変更する必要があります。

学資保険の名義変更をしないとどうなる?3つのリスク

学資保険の名義変更をしないとどうなる?3つのリスク
離婚時に学資保険を名義変更せず「契約者≠子どもの親権者」の状態のままにした場合、考えられるリスクは3つあります。

  1. 贈与税の発生
  2. 学資保険の解約をコントロールできない
  3. 保険料滞納による契約失効リスク

それぞれ詳しく解説します。

1.贈与税の発生

一般的に「学資保険の契約者=学資金の受取人」となっています。
学資保険の満期到来後、学資金の受取人から子どもの親権者へ金銭をやりとりすると、金額によっては贈与税が発生するため要注意です。

また契約者以外を受取人に設定する場合も贈与税の対象となるので、「契約者」と「受取人」の両方を子どもの親権者に名義変更しておきましょう。

2.学資保険の解約をコントロールできない

学資保険は契約者の意思で解約できるので、親権を持たない側が契約者のままでは意図せず解約されてしまうおそれがあります。

このようなトラブルを防ぐには、離婚前に確実に名義変更を行うか、契約継続の同意が得られない場合は解約および解約返戻金の財産分与も選択肢に入れて動きましょう。

3.保険料滞納による契約失効リスク

学資保険の保険料払込は契約者が行うため、親権を持たない側が契約者のままでは滞納されるリスクがあります。

払込猶予期間を超えて保険料の滞納が続くと契約失効するので、学資金の受け取りや万一の際に保険料の払込免除を受けられなくなってしまいます。

そのため学資保険の継続意思があるなら、必ず名義変更を行ってください。

学資保険の名義変更方法を詳しく解説

学資保険の名義変更方法を詳しく解説
学資保険の名義変更方法は保険会社によって異なるため、手続きが必要な場合は契約先の保険会社に問い合わせるのが確実です。
ここでは参考として、一般的な名義変更方法を詳しく解説します。

名義変更に必要な書類

学資保険の名義変更時に必要な書類の例は以下のとおりです。

  • 保険証券
  • 印鑑
  • 現契約者の本人確認書類
  • 新契約者の本人確認書類
  • 名義変更請求書

本人確認書類は、運転免許証・健康保険被保険者証・個人番号カード・パスポートなどのコピーが該当します。
また学資保険の名義変更時には、新契約者の告知が必要となる場合があります。

名義変更の手続き方法

学資保険の名義変更をする際は、まず契約先の保険会社に連絡を取ってください。
保険会社の担当者の名刺や連絡先が手元にある方は、そちらに連絡してみるとよいでしょう。

担当者の連絡先がわからないときは、保険会社のホームページやパンフレットに記載された問い合わせ先に連絡すれば、手続き方法を案内してもらえます。

保険会社の来店窓口に行き、名義変更手続きを進める方法もあります。
その際は混雑を避けるため、あらかじめ電話で予約したり必要な書類を聞いたりしておくとスムーズです。

学資保険を名義変更せず解約する2つのメリット

離婚による学資保険の名義変更は、子どもの父親と母親の両者が納得したうえで進めることが大切です。
ただ話し合いの状況によっては、名義変更ではなく学資保険を解約したほうが丸く収まるケースもあります。
学資保険を名義変更せず解約するメリットを見てみましょう。

メリット1.不公平感なく財産を分け合える

学資保険は子どもの学費に充てる目的で加入するものなので、親権者となる側は「名義変更に応じるのが当たり前」と感じるかもしれません。
しかしさまざまな事情から、親権を持たない側が名義変更に同意しない可能性は十分に考えられます。

例えば経済的理由から学資保険の名義変更に応じてもらえない場合、解約して解約返戻金を財産分与すれば、不公平感がないので納得してもらえるかもしれません。

「子どものために今後も学資保険に加入しておきたい」という方は、財産分与した解約返戻金をもとに改めて学資保険に加入するのも一つの方法です。

メリット2.現金を手元に残せる

離婚時は新しい住居を契約したり生活必需品を揃えたり、何かとお金がかかります。
また、たとえ学資保険の名義変更をしても、その後の保険料払込に無理があれば生活に支障が出るでしょう。

そのため十分な貯蓄がない場合は学資保険を解約して、まずは生活の立て直しに集中することも選択肢に入れてみてください。
生活の立て直しに必要な現金を手元に残せる点は、学資保険を解約する大きなメリットといえます。

学資保険を名義変更せず解約する3つのデメリット

学資保険の解約には3つのデメリットもあります。
先ほど解説したメリットと比較し、解約するかどうか判断しましょう。

デメリット1.元本割れの可能性がある

学資保険を中途解約すると、解約返戻金がこれまでの払込保険料を下回り、元本割れする可能性があります。
そのため学資保険の解約前に、どのくらいの解約返戻金を受け取れるのか必ず計算しましょう。

デメリット2.万一の際の保険料払込免除がなくなる

学資保険のメリットは、契約者に万一があった場合、それ以後の保険料払込が免除されることです。
離婚して子どもを1人で育てていくとなれば、保険料払込免除は今まで以上に必要な保障のため、それを失ってでも学資保険を解約すべきかよく考えましょう。

デメリット3.新たな学資保険加入が難しい

学資保険の満期は子どもが高校生や大学生になる時期に設定されるので、現在の子どもの年齢によっては新たな学資保険へ加入できない可能性があります。
すでに子どもが小学生以上の方は、加入可能な学資保険が限られるため要注意です。

また子どもの年齢が上がるほど月々の保険料は高額になるので、支払いの難しさから加入できないケースもあるでしょう。

「どうしても学資保険で教育費を準備したい」という方は、できる限り現在の保険を継続するほうが、損する可能性が低いためおすすめです。

まとめ

学資保険に加入している方が離婚する際は、「学資保険の契約者=子どもの親権者」となるよう名義変更が必要です。
名義変更せずに学資保険を解約し解約返戻金を財産分与する方法もありますが、元本割れなどのデメリットがあるため、よく話し合って最善の方法を選びましょう。

また子どもの教育費準備のやり方は、学資保険以外にもさまざまあります。
どのくらいの教育費がいつまでに必要かをシミュレーションし、現在の状況を考慮しながら自分に合うやり方を探すことが大切です。

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この記事を書いた人

松田聡子
ファイナンシャルプランナー

群馬FP事務所代表

明治大学卒業後、ITエンジニアとして証券会社のシステムの設計開発に従事。顧客の業務を勉強するなかで資産運用に興味を持ち、投資を始める。その後、国内生保での法人コンサル営業に転身。本格的にFP資格取得を目指す。2007年より独立系FPとして開業。当初は主に企業型確定拠出年金講師やFP資格受験講座の講師として活動。現在はマネーサイトへの執筆と個人や法人へのコンサルティングが活動の中心。FPとしての得意分野は保険・資産運用・年金・相続など。70年代の洋楽ロックとヨーロッパサッカーの愛好家。

保有資格:日本FP会認定CFP・DCアドバイザー・証券外務員二種

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