学資保険は子どもが何歳の時から必要?加入に最適なタイミングとは
近年、幼稚園・保育園の保育料や高校の授業料などが無償化されているものの、令和元年度の日本政策金融公庫「教育費負担の実態調査」によると、高校入学から大学卒業までにかかる教育費用の平均額は、子ども一人当たり939万円(※1)と、およそ1,000万円近いことがわかります。
莫大な資金をどのように準備するべきかと、お悩みの方も多いのではないでしょうか。
教育資金を貯める際、選択肢のひとつとして挙げられるのが「学資保険」です。ソニー生命の「子どもの教育資金に関する調査2021」において、高校生以下の子どもの親748人に対して大学等進学のための教育資金をどのように準備しているか調査したところ、学資保険に加入していると答えた方が全体の50.7%(※2)と半数を超える結果となっています。
教育資金の積み立ては早いに越したことはなく、学資保険への加入も同様のことが言えますが、それ以外にも早めの加入をおすすめする理由があります。
今回は、学資保険の加入に最適なタイミングについて詳しく解説していきます。学資保険のメリットとデメリットについても解説しているので、学資保険に加入するかお悩みの方はぜひ参考にしてください。
(※1)参考:日本政策金融公庫|令和元年度「教育費負担の実態調査」より
(※2)参考:ソニー生命|「子どもの教育資金に関する調査2021」より
まずは学資保険の目的を考える
ひとくちに学資保険といっても、保険会社ごとに性質の異なる商品が多数販売されています。学資保険に加入するタイミングを考える前に、まずは加入の目的についてじっくり考えましょう。
学資保険の基本となる目的は「教育資金の積み立て」です。とはいえ、すべての学資保険が教育資金の積み立てのみに特化しているわけではありません。
学資保険には「貯蓄型」と「保障型」の2タイプがあり、資産を増やしたいのか、それとも万一の際の保障を充実させておきたいのか、どちらを重視するかによって選ぶべきタイプが異なります。数ある商品の中から目的に応じて、自分たちに合った保険を賢く選ぶことが大切です。
学資保険は子どもが何歳から何歳まで入れるのか?
学資保険では加入可能な子どもの年齢に制限を設けており、それを過ぎると学資保険への加入ができなくなります。では子どもが何歳になったら加入できるのか、また何歳を過ぎると加入できなくなるのかといった疑問について具体的に見ていきましょう。
学資保険はいつから加入できる?
学資保険は子どもが生まれた後、0歳からの加入が可能です。妊娠中の加入ができる商品も増えており、保障内容にもよりますが、主に出産予定日の140日前から契約可能となっています。
産後の子育てで忙しいなか保険の検討をしたり、子連れで保険ショップに出向いたりするのは何かと大変なので、可能であれば妊娠中からの加入がおすすめです。
何歳まで加入できるのか?
子どもが何歳まで学資保険に入れるのかというのは、保険会社によって大きく異なる部分です。基本的には満6歳(小学校入学前)までを条件として定めている保険会社が一般的ですが、7歳以上になっても加入できる商品もあります。
なかには0~3歳までと契約可能な期間を短く設定することで運用期間を長くし、高い返戻率を実現している保険会社もあるため、できるだけ早めにさまざまな商品の中から検討しておくと、より良い商品を見つけやすくなるでしょう。
契約者(親)の年齢は関係ある?
一般的な保険商品は、契約者の年齢が上がるごとに保険料率も高くなっていきます。学資保険にも少なからず保障の部分が含まれるため、若干ではありますが契約者の年齢が上がるにつれ保険料も高くなることになります。
保障型の学資保険であればなおさら契約者の年齢に応じて保険料が高くなってしまうため、このことからも早めの検討がおすすめであると言えるでしょう。
加入時期により何が変わるのか?
学資保険への加入は早いに越したことはありません。特に加入時期によって変わるポイントが大きく分けて2つあります。以下、詳しく見ていきましょう。
月々の保険料の違い
学資保険では被保険者である子どもの年齢に応じて、月々支払う保険料が変動していき、年齢が高くなるほど保険料も高くなっていきます。
可能な限り早い時期に加入すれば毎月の負担額が減り、無理なく保険料を払い続けることができると言えるでしょう。
返戻率の違い
子どもの年齢が上がるにつれ契約年数が減り、保険会社にとっては運用期間が短くなってしまうため、結果として返戻率も下がるケースが一般的です。それに伴い総支払額も高くなってしまうので、早い時期の加入と比べて損になる可能性が高いでしょう。
返戻率が高いほど資産が増えることにもなるので、なるべくなら返戻率がもっとも良い時期の加入をおすすめします。
学資保険に加入すべき最適なタイミング
学資保険への加入にもっともおすすめの時期は「妊娠中」です。契約内容や保険会社にもよりますが、妊娠中に加入できる学資保険の取扱いは増えており、そうした保険商品は運用期間が長くなることからも返戻率が高くなる傾向にあります。
産後は慌ただしく保険にまで手が回らないこともあるでしょう。そのため、比較的余裕のあるうちに学資保険への加入を検討しておけば気持ちにも余裕が生まれ、結果としてより最適な保険商品を選ぶことができるかもしれません。
妊娠中の加入を逃した後でもまだ遅くはありませんが、子どもの年齢が0歳、1歳と低ければ低いほど返戻率が高くなり、総支払額も抑えられる傾向にあるため、なるべく早いうちの加入をおすすめします。
10年以上の長い年月を経て資産を運用していくことになるため、早い時期からの契約は抵抗を感じる方もいるかもしれませんが、中途解約さえしなければ元本以上の満期金が保証されるうえ、学資保険に加入すれば万一の際の備えにもなります。学資保険の恩恵を存分に受けるなら早い時期からの加入がお得だと言えるでしょう。
学資保険のメリット・デメリット
そもそも学資保険に加入することにメリットはあるのでしょうか。ここでは学資保険のメリットとデメリットについて確認していきましょう。
学資保険のメリット
まずは学資保険に加入するメリットから解説していきます。主に「運用によるリスクが低く貯蓄性が高い」「万一の際の保障がある」「貯蓄の強制力がある」「税控除が受けられる」といった4つのメリットが挙げられます。
1.銀行預金よりもお得
2021年現在、銀行の定期預金の平均年利率は0.002~0.003%、普通預金の平均年利率は0.001%(※3)とかなり少ないため資産運用として活用するにはメリットが少ないと言えるでしょう。
学資保険なら返戻率が高い商品ほど最終的に受け取れる金額が払込総額を上回るため、将来的な教育資金の貯蓄を目的とするなら銀行に預けるよりも、学資保険の方がメリットは大きいと言えます。また運用によるリスクが低い点もメリットだと言えるでしょう。
ただし保障型の学資保険など、返戻率が総支払額をはるかに下回る保険商品もあるため、選ぶ際には注意しましょう。
(※3)参考:日本銀行|預金種類別店頭表示金利の平均年利等より
2.万が一の際、保険料の支払いが免除となる
保障型だけでなく貯蓄型の学資保険においても、万が一契約者が死亡または高度障害を負った場合に、その後の保険料の支払いが免除されるうえ、満期金は契約時と変わらず受け取れるといった保障があります。
このことを考慮したうえで、別途死亡保険などに加入する場合はそちらの保障額を下げると、総じて保険料の支払いを抑えられることにもなるでしょう。
3.毎月決まった額を自動的に積み立て可能
特に貯蓄が苦手な方にとっては、保険料として毎月決まった金額が口座から引き落とされるため、なかば強制的に貯蓄することができるといった点がメリットとなるでしょう。
学資保険は中途解約も可能ではありますが、基本的には大幅に元本割れとなるためメリットはまったくありません。そうした損益の観点からも、学資保険に加入することで目標の金額を貯蓄するまでは気軽に引き出しづらい環境を作れることになります。
4.生命保険料控除の対象となる
学資保険の保険料は生命保険料控除の対象となるため、加入すれば所得税の負担額を抑えることができます。他の保険料とも合算できるため保険料の支払いが多くなる分、節税が期待できるでしょう。
学資保険のデメリット
一方で学資保険には、保険という性質上におけるデメリットもあります。具体的に見ていきましょう。
1.中途解約は原則としておすすめできない
万が一契約期間中、経済的な理由で保険料を継続的に支払うことが難しくなった場合に、中途解約をすることはもちろん可能です。
ただし学資保険の性質上、中途解約時の解約返戻金は元本割れとなる可能性が高いでしょう。結果として大きく損失となる恐れがあるため、中途解約はできないと考えておきましょう。
学資保険は貯蓄に強制力を持たせることができる半面、自由に資金を引き出せない点ではデメリットとなることもあるかもしれません。
2.インフレに対応できない
インフレとは「物価が上がり、お金の価値が下がること」です。インフレが進んだ場合、実質的なお金の価値が目減りすることになります。
学資保険は固定金利のため、契約時の利率は満期まで変わりません。学資保険のように契約期間が長い保険商品は、インフレのリスクにさらされる恐れがないとは言えません。
3.加入時期によって月々の支払額が高くなる
学資保険は加入に最適なタイミングを逃すと返戻率が下がるほか、契約満了までの期間が短くなるため、月々の保険料支払い額が高くなっていきます。
例えば毎月15,000円までなら積み立てに回す余裕があるけど、30,000円の支払いになると生活が厳しくなるかもしれないといったケースでは中途解約のリスクも考えられるため、加入は慎重に行いましょう。特に収入が安定していない若い世代は注意が必要です。
4.保障を付帯するほど返戻率が下がる
万が一の保障に特化したタイプの学資保険や、貯蓄型の学資保険に特約を付帯するなどして保障を充実させることもできますが、受け取れる学資金などの総額は変わらないため返戻率は大幅に下がる可能性があります。学資保険に加入する目的が「教育資金の積み立て」であった場合、返戻率が下がってしまっては元も子もありません。自分が必要な保障は何か、学資保険への加入目的をよく考えたうえで、自分たちに合った保険商品を選びましょう。
教育費の積み立てには学資保険以外にも
マイナス金利が続くなか、現在の学資保険は返戻率が低いため、銀行預金に比べると金利は良いもののさほど変わりがないと感じる方もなかにはいらっしゃるでしょう。また加入に最適なタイミングを逃してしまい、学資保険の恩恵をほとんど受けられないといった方もいるかもしれません。
どちらにせよ将来かかる学費をすべて学資保険だけで賄いきれるわけではないため、別途教育資金を積み立てていく必要があります。
貯蓄型の保険には学資保険以外にも変額保険や低解約返戻金型終身保険などの保険商品があり、それらで代用するのもひとつの手です。
将来的に子どもの教育費として考えた場合、学資保険以外にも選択肢があるということを頭に入れておくと良いでしょう。
まとめ
今回は、学資保険の加入に最適なタイミングについて解説しました。
返戻率や保険料、検討・加入のしやすさなどを総合的に判断したうえで、学資保険への加入は妊娠中がもっともおすすめです。
学資保険の目的を教育資金の積み立てとするならば、準備は早いに越したことはありませんが、加入のタイミングを逃した方や利回りの良い他の積み立て方法を考えているという方は、学資保険以外の貯蓄型の保険商品も視野に入れると良いでしょう。
学資保険だけでなく、あらゆる選択肢の中から自分たちに合った商品を選び、将来の教育資金を効率よく備えましょう。