女性保険とは
女性保険とは
女性保険とは、女性特有の病気になったときにより手厚い保障を受けられる保険の総称です。一般的な医療保険の保障に加え、乳がんや子宮がん、子宮筋腫といった女性特有の病気にかかった場合には給付金などがプラスオンされるのが大きな特徴です。
保障内容や条件などは商品ごとに異なるためあくまで一例ではありますが、おおむね以下のようなイメージです。
医療保険と女性保険の違いイメージ
入院日額1万円を
基本の保障とした場合 |
医療保険 | 女性保険 |
---|---|---|
保障範囲 | 病気やけが(女性特有の病気・がんなども含む) | 病気やけが(女性特有の病気・がんなども含む) |
男女問わない病気で入
(日額) |
10,000円 | 10,000円 |
女性特有の病気で入院
(日額) |
10,000円 | 10,000円+10,000円(女性特有の病気での給付金)=20,000円 |
乳房再建術※ | – | 1回50万円 |
※乳がんなどで乳房を切除した場合に、乳房のふくらみをできるだけ取り戻す治療。
つまり、女性特有の病気のみをカバーする保険ではなく「一般的な医療保険+女性特有の病気への手厚い保障」がパッケージとなっているのが、女性保険のベーシックな構造です。
ここで気になるのが、医療保険でも女性特有の病気は保障されるのに、なぜプラスオンが必要なのか、ではないでしょうか。
その理由は、近年女性特有の病気にかかる人が増えていることが背景にあります。
まずは、乳がんを例にみてみましょう。
国立がん研究センターがん情報サービスによると、女性のがん罹患率1位が乳房、5位が子宮となっています。
2位:大腸
3位:肺
4位:胃
5位:子宮
※ 国立がん研究センターがん情報サービス「最新がん統計まとめ」2017年のデータより
乳がんの罹患数を2005年から5年ごとに比較してみると、年を追うごとに増加しており、中でも35〜49歳の比較的若い層での増加が顕著なことがうかがえます。
国立がん研究センターがん情報サービスグラフデータベース「年齢階級別罹患者数(全国推計値)」をもとに作成
他方で、乳がんの5年相対生存率(がんと診断されてから5年後に生存している人の目安となる率)は92.3%と他のがんより高い数値に。手術などの治療のあとも、再発を防ぐ治療や検査などで長くお付き合いしていくケースが多いと考えられます。
もうひとつ、出産時に起こりうる帝王切開についてもみてみます。
厚生労働省の調査では、帝王切開の割合は年々上昇し、2017年は一般病院で25.8%に。4人にひとりが帝王切開での出産をしていることになります。
このような、女性ならではのリスクへの備えとして女性保険が注目されています。
厚生労働省「平成29年 医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況」より
こんな方は女性保険を検討してみましょう
・結婚を機に保険を見直したい
・女性特有の病気の経験がある親族が多く、不安が強い
・これから子どもを授かりたいと考えている
女性保険の基本のタイプ
女性保険は比較的歴史が浅いためカテゴライズが難しい点はありますが、基本としては一般的な医療保険と同じく、保障が一生続く「終身型」と、期間が1年、10年、20年など決まっていて支払った保険料は戻ってこない「定期型」があります。さらに、終身型のなかでも返戻金や一時金があるタイプと、掛け捨てタイプに分かれます。
妊娠中でも入れる?知っておきたい女性保険のポイント
女性ならではのあらゆる憂いをカバーしてくれる女性保険。ただし、検討する際にチェックしておきたいこともあります。
【チェックポイント1】
「女性保険」or「医療保険+女性疾病特約」どちらがいい?
女性保険の基本構造は「一般的な医療保険+女性特有の病気への手厚い保障」ということは、すでに一般的な医療保険に入っている方はオプション(特約)で女性特有の病気への備えを厚くする方法もあるわけです。
どちらがよりお得かは、一概に言い切ることはできません。医療保険に加入済みの方は、希望する保障が特約でカバーできるか、または女性保険に加入し直すとどうなるのかなどを念入りにシミュレーションしましょう。
【チェックポイント2】
保障範囲は保険会社によってそれぞれ
多くの女性保険では「女性特有の病気」に乳がんや子宮がん、卵巣がん、子宮筋腫や子宮内膜症、卵巣のう腫などの病気と、帝王切開、妊娠高血圧症候群などの妊娠出産時のトラブルが保障の範囲に含まれます。
また、甲状腺障害やリウマチなども対象となるものや、自然分娩や不妊治療などでも保険金が受け取れるものもあるなど、商品によって「女性特有の病気」の範囲はそれぞれです。ここも必ずチェックしましょう。
保障範囲は広い方が安心に思えますが、そのぶん保険料もアップします。どんなリスクに備えたいか、優先順位をつけることが大切です。
【チェックポイント3】
妊娠中でも入れる?
保険の多くは、妊娠がわかってからでは加入できないものがほとんどです。部分的に保障対象外になるなどの条件付きで加入することが可能なケースや、妊婦さんでも入れる保険もありますが、選択肢はかなり狭まります。
妊娠出産時のリスクへの備えが目的で、さまざまな商品から検討したい場合は、妊娠を予定する前から備えておけると安心です。
<出典・参考>
・国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」
https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html・厚生労働省「平成29年(2017年) 医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/iryosd/17/dl/09gaikyo29.pdf